

1歳〜2歳 日本語と英語、ふたつのことばが育つとき

気持ちを伝えたい! ことばは「まね」から始まる




1歳を過ぎると、子どもたちの口から、少しずつことばがこぼれるようになります。
まだ不完全で、発音もあいまい。でもその一語一語には、「伝えたい」という気持ちと、「ことばっておもしろい!」という発見が詰まっています。
この時期の子どもたちは、「聞いたことをまねして言ってみる」ことを繰り返しながら、語彙を増やしていきます。
そして日本語と同じように、英語もまねからはじまるのです。
日本語も英語もふたつのことばが自然に育つ

「英語を始めたら、日本語の発達に影響が出るのでは?」
そんな心配の声を耳にすることがあります。
けれど、家庭の中で日常的に日本語に触れている子どもにとって、英語を学ぶことは“日本語に代わること”ではありません。
それはまるで、右手と左手をそれぞれ使うように、ことばを状況に応じて使い分ける力が育っていく過程です¹。
たとえば




お母さんには



ナニーには



この様に、どちらか一方ではなく、両方のことばが、子どもたちの世界を豊かにしていくのです。
「まねっこ」からナニーとの自然なやりとりがことばを育てる

ケーバイエヌのナニーと過ごすお子さまたちは、まずは“音の響き”として英語を楽しみながら、少しずつことばを口にしていきます。
たとえば

掛け声とともに座る

ナニーのまねをして座る




意味が完全にわかっているわけではなくても、音のリズムや場面の流れで、英語のことばが「自分のもの」として口から出てくるようになるのです。
単語からフレーズへことばの「つながり」が生まれる

最初は “more!” や “duck!” などの単語だけだったのが、
やがて “more banana” “put it in” “where mama go?” といった2語・3語のフレーズへと発展していきます。
これは英語だけではなく、日本語でも同じ現象が見られます。


どちらも自然なやりとりの中で身についた表現であり、子どもたちは“文法”ではなく、“伝わる感覚”でことばを使っていくのです³。
英語と日本語場面で使い分ける力

1〜2歳の子どもたちは、まだ小さくても、「この人には日本語」「この人には英語」と、相手に合わせてことばを選ぶ力が少しずつ育ち始めます。
たとえば、ある女の子はナニーに向かって “small hands!” と笑いかけ、同じ場面でお母さんには「ちいさいね〜」と話していました。
このように、相手に応じて自然にことばを切り替えているのです。
これは、「混ざってしまっている」「どちらかが中途半端になる」ということではありません。
むしろ、子どもがことばをただの音として覚えるのではなく、“誰と、どんなふうに使うか”まで感じとっていることのあらわれです。
私たちはふだん、大人同士でも「友だちとはくだけた言葉」「仕事では丁寧な言葉」など、相手に合わせてことばを使い分けていますよね。
子どもたちは、その土台になる力――ことばの役割や場面のちがいを感じ取る力を、遊びややりとりの中で自然と身につけていきます。
こうした力が少しずつ育つことで、英語と日本語、両方のことばがバランスよく広がっていくのです。
音とリズム、そして動き記憶に残ることば

この年齢の子どもたちは、音のリズムやジェスチャーと結びついたことばを、驚くほどよく覚えます。
たとえば、“Put it in!”(入れてね)と声をかけながらブロックを箱に入れると、子どもも“in!”などと言いながら同じ動きをまねします。
“Bye-bye, bunny!” とぬいぐるみに手を振ると、笑って“bye-bye!”と返してくれます。
このような音と動きがセットになったことばは、遊びや生活の中で何度もくり返されることで、自然と口から出るようになります。
実はこの「まねして言ってみる」ことが、脳の発達にも深く関わっていることが、最近の研究でもわかってきています。
見て・聞いて・動いて・やりとりする中で、ことばは子ども自身のものになっていくのです。
英語も日本語も、教わるのではなく、誰かと一緒に楽しく使うことで育っていきます。
だからこそ、ナニーとの毎日のやりとりが、ことばの土台づくりにぴったりなのです。
教えるのではなく、届ける“まねる”ことが、ことばの始まり

私たちケーバイエヌのナニーは、英語を「教える先生」ではありません。
レッスンのようにかしこまって教えるのではなく、毎日の遊びや会話の中で、ことばを“一緒に楽しむ”ことを大切にしています。
たとえ子どもがまだうまく話せなくても、耳はしっかり聞いていて、声のトーンやリズム、ことばの雰囲気を感じ取っています。
また、発音がむずかしいことばでも、口を動かしてまねしようとする姿が、日々たくさん見られます。
そうやって、子どもたちは「大好きな人のことば」を、丸ごと吸収していくのです。
コラムの内容についてもっと詳しく知りたい方へ参考資料
- Genesee, F. (2002). Early bilingual development: One language or two? In V. Cook (Ed.), Portraits of the L2 User, Multilingual Matters.
日本語説明: 幼児は早期から二言語を混乱せずに習得でき、言語の使い分けも自然に起こるとしたバイリンガル発達研究の古典的論文。 - Tomasello, M. (2003). Constructing a Language: A Usage-Based Theory of Language Acquisition. Harvard University Press.
日本語説明: 子どもは実際に使われることばを模倣し、やりとりの中で自然と文法的な構造を獲得していくという理論を提唱。 - Clark, E. V. (2009). First Language Acquisition. Cambridge University Press.
日本語説明: 第一言語の習得過程において、単語→フレーズ→文というステップを経て、子どもが意味と使用場面を学んでいくことを解説。 - Kuhl, P. K. (2004). Early language acquisition: Cracking the speech code. Nature Reviews Neuroscience, 5(11), 831–843.
日本語説明: 乳幼児の音声認識と、社会的なやりとりや模倣が言語習得に与える影響を神経科学の観点から解説。